新薬開発のために看護師としてできること

看護師なら知っておきたい「近代の薬作り」

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近代の薬作りは?

近代の薬作りは?

近代における薬の作り方

看護師が新薬開発に携わるためには、薬の概要や歴史、薬の作り方などの基本的な知識を理解しておく必要があります。近代の薬は化学変化や化学合成の過程を経て作られており、植物や動物、鉱物などに含まれる有効成分が原料として用いられています。現在では原料から抽出された有効成分をさらに効果的に活用するための研究が進められていますが、多くの原料はその有効性が古くから認識されていました。

実や樹皮、葉からできる薬

現代まで残っている薬の記録としては最古のものといわれている「エーベルス・パピルス」には、赤ちゃんの夜泣き治療の薬としてケシのチンキ処方(生薬をエタノールと精製水の混合液に浸して作られる製剤)が記録されています。ケシの種子や汁は、西洋でも東洋でも昔から薬としてよく使われてきました。薬としてだけではなく、食用や栄養源としてケシの種子が利用されることもありました。モルヒネの原料となる阿片は、ケシの未熟果を傷つけると出る分泌液を乾燥させたものです。ドイツの薬剤師F.W.セルチュナーが阿片から有効成分のモルヒネを取り出すことに成功したことをきっかけに、古くから活用されてきた薬から有効成分を取り出す研究が盛んになっていきました。モルヒネは、癌患者の痛みを緩和する治療薬として今でもよく使用されています。
ヤナギの樹皮は、古代から痛風や神経痛の薬として使われてきました。鎮痛や解熱にも効果があるとして、紀元前の時代の医師ヒポクラテスがヤナギの樹皮を薬として使っていたといわれています。日本では歯痛の緩和に効果があるとして、ヤナギをつまようじに加工して使用していました。悪寒や発熱などに強力な効果を発揮していたヤナギの樹皮の抽出エキスは、1763年にはサリシンと名づけられました。1838年にはサリシンを分解するとサリチル酸になることが明らかになり、リウマチの治療などに活用されるようになりました。しかし、サチリル酸は苦味や副作用が強いという問題がありました。サリチル酸の副作用を減らして効果を高めるための研究開発が進められた結果、1897年にはアセチルサリチル酸(アスピリン)の合成に成功しました。近代の薬の開発においても、副作用を減らしつつ効果を最大限に高めるための研究開発が繰り返されています。
マラリヤ薬として古くから重宝されていたのが、アカネ科の植物キナの樹皮です。南米の原住民は、キナの樹皮がマラリヤに聞くことを知っていました。1820年にキナの樹皮から有効成分キニーネを抽出することに成功し、マラリヤ薬として使用されるようになりました。強壮効果もあるキニーネは、トニック・ウォーターの原料としても使用されています。

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